日本で、お酒を製造・販売するためには営業許可が必要となっており、許可なしに勝手にお酒の製造・販売することはできないことになっています。
お酒の製造・販売についての取り決めについては、「酒税法」という法律で定められていますが、その中でアルコール度数1%以上の飲料を「酒類」と定義されており、酒類を販売するためには、酒類販売業免許が必要となっています。
次から酒類販売業免許についてくわしく見ていくことにしましょう。
酒類の定義
酒税法によると、酒類は次の4種類に大別され、17品目に分類されています。
酒類は、発泡性酒類、醸造酒類、蒸留酒類、混成酒類の4種類に大別されますが、次のような内訳となっています。
発泡性酒類 | ビール、発泡酒、その他の発泡性酒類(ビール及び発泡酒以外の酒類のうちアルコール分が10度未満で発泡性を有するもの) |
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醸造酒類 | 清酒、果実酒、その他の醸造酒 |
蒸留酒類 | 連続式蒸溜しょうちゅう、単式蒸溜しょうちゅう、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール、スピリッツ |
混成酒類 | 合成清酒、みりん、甘味果実酒、リキュール、粉末酒、雑酒 |
さらにその内訳が次のとおりに17品目に分類されています。
酒販免許を取得するとその取り扱うことができる酒類について、品目が記載されることになります。
どの酒類の品目について、酒販免許が必要となるかを確認しておいたほうがよいでしょう。
品目 | 定義の概要 |
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清酒 | 米、米こうじ、水を原料として発酵させてこしたもの(アルコール分が22度未満のもの)
米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させてこしたもの(アルコール分が22度未満のもの) |
合成清酒 | アルコール、しょうちゅう又は清酒とぶどう糖その他政令で定める物品を原料として製造した酒類で清酒に類似するもの(アルコール分が16度未満でエキス分が5度以上等のもの) |
連続式蒸溜しょうちゅう | アルコール含有物を連続式蒸溜機により蒸溜したもの(アルコール分が36度未満のもの) |
単式蒸溜しょうちゅう | アルコール含有物を連続式蒸溜機以外の蒸溜機により蒸溜したもの(アルコール分が45度以下のもの) |
みりん | 米、米こうじにしょうちゅう又はアルコール、その他政令で定める物品を加えてこしたもの(アルコール分が15度未満でエキス分が40度以上等のもの) |
ビール | 麦芽、ホップ、水を原料として発酵させたもの(アルコール分が20度未満のもの)
麦芽、ホップ、水及び麦その他政令で定める物品を原料として発酵させたもの(アルコール分が20度未満のもの) |
果実酒 | 果実を原料として発酵させたもの(アルコール分が20度未満のもの)
果実に糖類を加えて発酵させたもの(アルコール分が15度未満のもの) |
甘味果実酒 | 果実酒に糖類、ブランデー等を混和したもの |
ウイスキー | 発芽させた穀類、水を原料として糖化させて発酵させたアルコール含有物を蒸溜したもの |
ブランデー | 果実、水を原料として発酵させたアルコール含有物を蒸溜したもの |
原料用アルコール | アルコール含有物を蒸溜したもの(アルコール分が45度を超えるもの) |
発泡酒 | 麦芽又は麦を原料の一部とした発泡性を有するもの(アルコール分が20度未満のもの) |
その他の醸造酒 | 穀類、糖類等を原料として発酵させたもの(アルコール分が20度未満でエキス分が2度以上等のもの) |
スピリッツ | 上記のいずれにも該当しない酒類でエキス分が2度未満のもの |
リキュール | 酒類と糖類等を原料とした酒類でエキス分が2度以上のもの |
粉末酒 | 溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のもの |
雑酒 | 上記のいずれにも該当しない酒類 |
酒類販売業免許の区分
酒類販売業免許は、「酒類小売業免許」と「酒類卸売業免許」の二つに分かれています。
酒類小売業免許 | 私たちのような一般消費者や飲食店などに対してお酒を販売するための免許となります。 |
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酒類卸売業免許 | 酒類販売業者、言ってしまえば酒屋さんにお酒を販売(卸売り)するための免許となります。 |
酒類小売業免許
一般消費者などに酒類を販売することができる酒類小売業免許ですが、販売方法によって、さらに次の三つの免許に区分されています。
一般酒類小売業免許 | 販売場において原則としてすべての品目の酒類を販売(通信販売を除きます。)することができる免許です。
お酒を販売しているコンビニや酒屋さんが持っている免許となります。 実際にお店を構えて、お酒を販売することができます。 |
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通信販売酒類小売業免許 | 2都道府県以上の地域の消費者等を対象として通信販売によって、酒類を販売することができる免許です。
簡単に言ってしまえば、インターネットやカタログ販売などで酒類を販売する場合に必要な免許となります。 ただし、販売できる酒類は原則として、次のものに限られています。
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特殊酒類小売業免許 | 酒類の消費者等の特別の必要に応ずるため、酒類を販売することができる免許です。 |
酒類卸売業免許
酒類販売業者や酒類製造業者に対して、酒類を継続的に販売する場合に必要な免許となります。
酒類卸売業免許は、さらに以下の八つの免許に区分されます。
全酒類卸売業免許 | 原則、全品目の酒類を卸売することができます。 注)卸売の販売地域ごとに、毎年、免許を付与できる件数が決められています。 |
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ビール卸売業免許 | ビールの卸売をすることができます。 注)卸売の販売地域ごとに、毎年、免許を付与できる件数が決められています。 |
洋酒卸売業免許 | 果実酒、甘味果実酒、ウイスキー、ブランデー、発泡酒、その他の醸造酒、スピリッツ、リキュール、粉末酒、雑酒を卸売することができます。 |
輸出入酒類卸売業免許 | 輸出する酒類、輸入する書類、輸出入する酒類を卸売することができます。 |
店頭販売酒類卸売業免許 | 自らの会員である酒類販売業者に対し、店頭において酒類を直接引き渡し、当該酒類を会員が持ち帰る方法による酒類の卸売を行うことができます。 |
協同組合員間酒類卸売業免許 | 自らが加入する事業協同組合の組合員に対する酒類の卸売ができます。 |
自己商標酒類卸売業免許 | 自らが開発した商標、または銘柄の酒類の卸売を行うことができます。 |
特殊酒類卸売業免許 | 酒類事業者の特別なニーズに応えるためのみ、酒類を卸売することができる免許です。 |
酒類販売管理者とは?
酒類販売管理者の選任
酒類販売業者は、販売場ごとに、免許を受けた後に、遅滞なく酒類の販売業務に従事する者のうちから「酒類販売管理者」を選任しなければなりません。
また、代表者(法人の場合は役員)自身が、酒類販売業務に従事する場合には、自ら酒類販売管理者になることもできます。
酒類販売管理者の業務
選任された酒類販売管理者は、酒類販売業者や従業員等に対して、酒類販売業務に関する各種法令を遵守して、その業務を実施するために、必要な助言または指導を行う必要があります。
遵守すべき法令
・酒税法
・酒類業組合法
・未成年者飲酒禁止法
・容器包装リサイクル法(容器包装にかかる分別収集および再商品化の促進等に関する法律)
・独占禁止法(私的独占の禁止および公正取引の確保に関する法律)
・不当景品類および不当表示防止法
注意事項
次の1~7に掲げる場合には、酒類販売業務に従事する者の中から、酒類販売管理者に代わる責任者を指名し配置する必要があります。
- 夜間(午後11時から翌日午前5時)において、酒類の販売を行う場合
- 酒類販売管理者が常態として、その選任された販売場に長時間(2~3時間以上)不在となることがある場合
- 酒類売場の面積が著しく大きい場合(100平方メートル超えるごとに1名以上指名)
- 同一建物内において酒類売場を配置している階が複数ある場合(酒類販売管理者のいない各階ごとに、1名以上指名)
- 同一の階にある複数の酒類売場が著しく離れている場合(20メートル以上離れている場合)
- 複数の種類売場が著しく離れていない場合であっても、同一の階において酒類売場の点在が著しい場合(3ヶ所以上ある場合)
- その他、酒類販売管理者のみでは酒類の適正な販売管理の確保が困難と認められる場合
酒類販売管理者の選任の届出義務
酒類販売管理者を選任し、又は解任した場合は、2週間以内に管轄の税務署に届け出る必要があります。
この届出を怠った場合には、10万円以下の過料に処されます。
酒類販売管理者の研修受講について
酒類小売業者は、酒類販売管理者に、選任の日から3ヶ月以内に財務大臣が指定する団体(小売酒販組合等)が実施する酒類販売管理研修を受講させなければなりません
また、酒類販売管理研修については、免許申請の際、免許申請者の酒類販売の実務経験が少ない場合などには、事前に研修の受講を求められることもあります。
酒類販売業免許申請についてのお問合わせ
ひかり行政書士法人では、酒類小売業免許・酒類卸売業免許についてのご相談や酒販免許申請サポートのお申込みについて、お電話・メールでのお問合わせを承っております。
酒類販売業免許のあらゆるご相談について、お気軽にご連絡ください。
その他の許認可申請について
その他の許認可申請についてお調べの方は、ひかり行政書士法人の総合サイト「許認可.net」もぜひご覧ください。